インテリジェントパッド館
微分解析機/1887年にジェームズ・トムソンが発明し,MITのヴァネヴァー・ブッシュが最初の実用機を1931年に稼動
 
微分解析機は,積分器などを用いて常微分方程式を解くための,大型の機械式アナログ計算機である.この機械式計算機は, 6階の微分方程式が解けるもので、differential analyzer(微分解析機)と命名され、その設計方式は世界に広がった.[IPSJ]
「東京国立科学博物館(東京都台東区上野公園)」  撮影日 2001年3月14日 (撮影)石川栄一

インテリジェント・パッド IntelligentPad/IP

 オブジェクト指向の考え方を取り入れ、北海道大学の田中譲教授のグループが開発した、特定の機種やOSに依存しないソフト開発・利用環境の1つで、特定の機能をもつPadを積み木のように組み合わせることで、誰にでも簡単に利用できるツール・キットの名称。

Padは、テキスト・動画・音声などさまざまな形態の情報を扱うことができ、積み木を積み上げるように簡単に、機能結合させることができる。
例えば、バネPadや滑車Padを連結すると、すぐに実験結果を確認することができる。
つまりIntelligentPadには、文書、画像、動画を含む様々な情報などの知的資源をPad(パッド/紙片/台紙)に格納し、それら多数のPadを、開発も含めネットワーク上で管理、流通させ、知的資源を統一的に取り扱うというメディア・アーキテクチャとしての側面と、コンピュータの画面上で多数のPadを貼り合わせるというごく簡単な操作によって表現することができるソフトウェア・アーキテクチャとしての側面がある。

 1993年7月1日には、IntelligentPadを国際的に普及させる目的で、IPC (IntelligentPad Consortium/インテリジェント・パッド・コンソーシアム)が設立された。また、田中教授はIntelligenPad を使った、知的ソース(資源)の開発、管理、流通、統合を一括管理するシステムの構築を「メディア」という形で提唱し、コンピュータを介しての知的資源発展のプロセスを、イギリスの生物学者であるリチャード・ドーキンス(Richard Dawkins)が提唱している文化遺伝子であるミーム(meme)から名前を取って「ミームメディア(Meme Media)」といっている。

 つまり、ミームメディアとはドーキンスの理論をコンピュータを媒体とする知的情報システムに応用したメディアであり、ドーキンスのいうミーム(文化遺伝子)は、様々な形で示される知的資源にあたり、それがPadや数枚のPadを貼り合わせた「合成Pad」としてネットワークを通して社会に流通し、自由にコピー、分解され、他の流通Padと組み合わせが可能となり、合成Padは生物学上の遺伝子と同様に、組み替え、突然変異などの4つのサイクルを経て進化・発展する。

 そして多くの人々の中で共有されるようになり、無数のPadが蓄積され、知的資源を包含する文化の進化が加速されるようになる。メディアの容器としてのPadが作り出されて流通されると、遺伝子のように機能し、Padは利用者によって複製、再結合され、自然淘汰される。

 そしてメディアの「遺伝子・ミーム」となり、蓄積された状態のミーム・プールが形成され、Padはその利用者の想像力と創造性と共に進化する。電子メディアの「ミーム」の登場と、私たちの社会の中でミームの操作や伝達を可能にするオープンなインフラストラクチャの整備によって、文化的伝達はより速く、より効率的になり、様々なコンピュータの上で自由に移動可能なミームは文化と知性の環境の新しい形態を提供するようになる。

 IntelligentPadは、既にUNIX版、Windows版、Mac版、(財)札幌エレクトロニクスセンターのディジタル工房プロジェクトで作成したSmalltalk版、標準仕様版の5種類が開発され、IP標準仕様書第2版に基づいたWindows95上で動作するカーネルが、IPC会員の富士通により開発されている。

 また、これ以外にも北海道大学田中譲研究室によるSmalltalk-80とSmalltalk Agents(Macintosh)のバージョン、IPC によるInterViews/C++のバージョン(IP Reference Systemは、1994年からIPCにより無償配布中)、個人会員の島瀬浩(Hiroshi Shimase)によるSmalltalkAgentsのバージョンが存在している。

 これらは独立に開発されたため互換性はないが、IPの可能性を示すものとして、IPC を通じて展示、一般公開されている。
 詳細情報はURL(http://www.pads.or.jp)で知ることができる。今後は、世界的規模でのPadの流通機構の確立などが課題になってくる。

 「マルチメディア・インターネット辞典」
IntelligentPadの仕組み

 IntelligentPadにおいては、機能もデータもパッドという目に見える形の固まりで表します。たとえて言うならば、レゴシステム社のレゴブロックやMindStormのようなものでしょうか。

 パッドを貼り合わせるときに、レゴブロックのポッチをはめるように、スロットと呼んでいるデータや機能の受け渡し口をつなげます。これによって2つのパッドが連係して動作するようになるわけです。例えば、動画のデータと再生する機能を持ったパッドがあったとしましょう。その上に、ボタンのパッドを貼ることによって、再生と停止の機能を加えるとしましょう。様々なデザインを持ったボタンパッドの中から気に入ったものを動画のパッドの上に貼り、再生のスロットや停止のスロットに結びつけてやればよいのです。

 基本的な原理はこれだけです。これらの組み合わせを繰り返していくことにより いろいろな編集物や道具を誰でも作り出していくことができるのです。
では、そういった様々な機能を持ったパッドは誰が作るのでしょうか?
 それはIntelligentPadに興味を持ったソフトウェア技術者たちなのです。
●その多くはIntelligentPad Consortium(略称:IPC)の中にいます。
●もし欲しいパッドが見つからないときは、IPCの技術者にリクエストしてみてください。(IPCフォーラムにご参加下さい)

最終更新日

2022年9月29日

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IntelligentPadとは何か

 IntelligentPad (略称:IP)は、パッドと呼ぶ機能やデータが入った固まりを、パソコンの画面上で目に見える形で表し、それらのパッドを直接操作によって組み合わせることにより、利用者が思いのままに、新たな編集物や道具を作り出すことができる環境です。
 パッドの中には、例えば文章や写真、動画や音といった様々なメディアと、それらを表示したり編集する機能などが一緒に入っています。またボタンやスイッチ、スクロールバーといったコントロールなどもあります。さらにデータベースやネットワークにアクセスするといった縁の下の力持ち的なパッドも存在します。

 これらのパッドを組み合わせることにより、例えば写真に解説を加えて写真集を作ったり、誰かが作った便利な道具を、自分が使いやすいように手直ししたりといったことが簡単にできるようになります。

 この時、利用者がやらなければいけないことは、必要なパッドを貼ったり、要らないパッドをはがすということだけです。プログラミングもスクリプティングも要りません。
 IntelligentPadの特徴は、これだけではありません。それぞれのパッドに誰が作ったのかということと、必要であれば価格を埋め込んでおくことができます。
 このことによってどこまでコピーされていっても、出所が常に明らかであり、対価をもらうことが可能になります(ライセンス管理システム)。 加えて、みなさんがパッドで作った作品を、広くかつ簡単に流通・交換するための仕組みも用意されています(Piazza)。

 IntelligentPadは、やれることがあらかじめ決められたアプリケーションではありません。パッドの組み合わせを変えることによって、誰でも自分なりの編集物や道具といった作品を産み出すことができる、利用者のために用意された環境なのです。
 もちろんみんなが何かを作り出さなければいけないといううことではなく、誰かが作ってくれた作品を利用するだけでも構いません。

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